石田まさひろ政策研究会

 

医療の国際展開

世界でも有数といわれている日本の医療技術やサービス。これを海外でも展開しようという、医療のアウトバウンドが進められています。
世界の医療市場は年平均で7%以上の成長を続けており、今は主に欧米の医薬品や医療機器メーカーそして病院グループが優位に立っています。しかし日本でも、国内に留まるだけでなく海外に進出する動きが始まりました。

日本政府も医療の国際展開を目指しており

・日本の先端医療の技術移転や医療拠点の海外展開

・優秀な医療機器や医薬品のトップセールス

・国民皆保険など日本の公的医療保険制度の知見やノウハウの移転

をすすめています。

医療拠点の海外展開については、すでにインドネシアでの糖尿病クリニック、ロシアのウラジオストックでの画像診断センター、カザフスタンでのがん検診センター、サウジアラビアでの透析センターなどが始まっています。私はこの度、その中でも先端を走っているセコムと豊田通商が進めているインドのベンガルールにある総合病院「SAKRA WORLD HOSPITAL」を訪問し、現地で働いている日本人たちの話を聞いてきました。

現在稼働病床は230床でうちICUが60床、平均在院日数はなんとわずか4日。月間退院患者数が1000人程もあり、働いているスタッフはとても大変な急性期病院です。プロジェクトスタート時点では資本関係や開業時期など急展開がありましたが、2014年の開院以来、順調に患者数も増え、安定した経営に入りつつあります。

おそらく、医療などの制度が整っていることを前提に、立地や人材の確保等ができれば、日本の技術をもってすれば発展途上国での病院展開は十分できると思います。現地の病院を買収するなどの手法を使えば急速な展開も可能かもしれません。

しかし、重要なのは「日本が展開する病院とは何か」です。現地の患者が期待しているのは単に病院をつくることではなく、「日本がやるのだから地元の病院とちがって何かいいことがある」です。それは単なる医療機器の充実やきれいな建物のようなことではなく、あっと驚くようなホスピタリティーの高さのといえばいいでしょうか。

そのためには、日本の医療や看護の質の高さがなんたるかを、背景の文化や考え方の違いを乗り越えて、スタッフたちが共有し、十分な教育を受け、実践できなければなりません。

たとえばこの病院でナースセンターを覗くと、薬品棚の整理整頓ができていない、ごみが床に散らかっている、汚れたテーブルを拭かない、食後の食器の片づけができていないなど、あたり前と思うようなことができていませんでした。日本では子供のころからしつけられるようなことですが、現地のスタッフたちはこのことを当然やることだとは認識していません。こういった文化や風習や価値観の違いを乗り越えて「すばらしい!さすが日本だ」という感想を患者が持ってもらうには時間がかかりそうです。

日本の医療の国際展開といいますが、医療が文化に根差している以上、形式や機能だけでなく、日本と現地のお互いの文化の接点を探りながら、いい塩梅にまでスタッフ一人一人の心持ちとか行動とかまで変化させる展開が必要でしょう。

日本の医療や看護の良さとは何か、考え直すきっかけをもらったような気がしました。

桜ホスピタル ①

 

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