天然記念物に指定されている金魚がいます。
高知県の土佐錦、愛知県のジキン、そして今回ご紹介する島根県の出雲ナンキンです。
以前「出雲ナンキン振興会」の松浦巌会長のご自宅兼飼育場にお伺いしたことがあります。たたき池に群永する出雲ナンキンは、それはお見事でした。松浦厳会長と金魚談義は、会長の情熱を感じ、僕もテンションがあがりました。
出雲ナンキンは、背びれがなく頭がすっきりしていて、まるで卵にしっぼがついたような型の金魚です。ほとんどの品種は赤や青といった色付きが好まれますが、出雲ナンキンは雪の如き白銀が好まれます。江戸後期の松江落主松平不昧公が出雲ナンキンについて「金魚を愛し部屋の天井に硝子を張り、月光で金魚を跳められた」といわれており、不昧公にちなみ、侘び寂びがある風流な味わいの金魚ともいわれています。
他の金魚にも同様な面があるのですが、戦時中の物資不足等で終戦時にはわずか数匹しか残っていなかったものを、愛好会の皆さんの努力で、品評会が開かれるまでになり、最近は出雲地域以外でも飼育されるようになりました。ただめったにお店には売っていませんから、入手は困難です。
しかも「生れ3分飼い7分」といわれるほど飼育によって出来が変わるため細心の注意が必要で、脂肪分がより少ない餌をこまめに与える必要があります。また、に他の金魚より強力な一渡過が必要で、水の維持に一苦労します。
しかし、手をかけた分をあまって魅力たっぷりの出雲ナンキンです。