石田まさひろ政策研究会

泡盛の魅力と歴史

突然ですが「泡盛」のことを書きます。初当選以来7年間ずっと参議院の「沖縄及び北方問題に関する特別委員会」の委員を続けています。その中で沖縄の理解を深める中で、沖縄独自の酒である泡盛についても考えることがあります。 泡盛の理解は琉球文化の理解に繋がります。

琉球泡盛は「クセが強い」「匂いがきつい」などと言われますが、本当は甘みとコクの深い美味しいお酒です。

ウイスキーは世界中に愛飲家がいて、「文化をまとった酒」とまで言われるほど歴史と広がりがあります。
しかし初めて飲んで好きだという人はあまりません。飲みなれればなれるほどおいしさを感じるようになるお酒です。

味覚には「アクワイアード・テイスト(後天的な味覚)」という経験を重ねて好きになる感覚があります。子供のころは誰しも甘いものが好きですが、年を重ねていくとだんだん辛みが大丈夫になり、旨味を感じるようになります。初めて飲んだビールはただ苦かったはずです。

特にウイスキーは、香りや味が複雑ではじめはよくわかりません。しかし飲む回数を重ねるにつれ違いを分かるようになり、繊細さの理解が深まり、その経験がおいしさに繋がっていきます。

泡盛もウイスキーと同じ蒸留酒です。ウイスキーは大麦やコーン等ですが、泡盛は長粒米を、黒麹菌を使い発酵させ、できたもろみを蒸留します。作りたてもおいしいですが、何年も寝かせ古酒(クースー)にすると複雑さが増しとても旨いお酒になります。

自分の経験では、泡盛もウイスキーと同じように、最初はクセの強さばかり感じ薄めて飲んでいたのが、次第に旨味を感じるようになり今はストレートやロックで味わうようになっています。飲みなれて泡盛のテイストをアクワイアード(獲得)したのだと思います。

そんな泡盛ですが、残念なことに年々生産量が減っています。最近は輸出こそ伸びていますが、国内では軽いお酒のほうが人気はあり、特に地元沖縄での消費が減っています。

一方で、ウイスキーは味を理解する人が世界中で増え、いま生産が追い付かなくなっているくらい大人気です。その背景には、飲みやすいからではなく、NHK連ドラの「マッサン」でブームが始まったように、物語としてのウイスキーを知りたいというきっかけがあり、飲み慣れていきはまっていくという流れがあるのです。

同じアクワイアード・テイストのお酒ですが、差が開いていく一方の感じがします。

しかし実は、泡盛はウイスキーに並ぶほどの背景を持っています。泡盛は世界唯一「ロイヤルスピリッツ」といわれ、琉球王朝時代は高貴なお酒としてふるまわれていました。江戸将軍家や明王朝への高価な貢物として珍重されていました。

また、「しつぎ」という代々つぎ足しながら寝かせ続ける世界に類がない飲み方もあります。泡盛のもつ物語をきちんと表現し、一つ一つの泡盛の味わいの広がりと深さを表現できれば、必ずや広がっていくと思います。

このことは、平成29年6月に以前国会で質問したことがあります。全文載せておきますね。

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○石田昌宏君 自由民主党・こころの石田昌宏です。
本日、時間がそんなにありませんので、沖縄そして北方についてそれぞれ一問ずつ、質問というか提案に近いかもしれませんが、していきたいというふうに思っています。
まず、沖縄ですけれども、お酒の話です。お酒というのは、もちろん味そのものも楽しみがありますけれども、会話をして楽しむだとかいろんな楽しみ方がありますが、これらに加えて、やっぱり歴史とか文化とかお酒が持っている物語、ストーリーというものに着目してみるといろんな観点があるのかなと思っています。
というのは、世界中でたくさん飲まれています例えばワインとかウイスキーというのも、もちろん安く楽しめるものもありますけれども、それぞれのうんちくというか歴史とか、そういったものを踏まえてかなり価値が高いものがあります。造り手の歩んできた道ですとかその地域の文化というのもとても重要になっています。これが物語となってお酒の価値を高めていくんだというふうに考えています。
ところで、日本の国酒といえば日本酒、それに焼酎、それから沖縄は泡盛があります。物語とかストーリーという観点からすると、実は泡盛というのは国酒のお手本になるんじゃないかなというふうに考えています。
というのは、泡盛というのは古くから、例えば出産とか結婚とか誕生日ですとか、いろんな人生の節目の場面で皆が集まってそれを飲み継ぐという形、飲むというんじゃなくて飲み継ぐんですけれども、というのは、かめに入った泡盛が各家庭にありまして、それを記念日に飲んだりします。もちろん飲み干すということも余りしないで、一部残っちゃうんですけれども、残ったものはそれで終わりではなくて、そこにまた新しい泡盛を元の量になるまで継ぎ足します。そうやって保存をします。多分同じものをずっと長く置いているだけだとひねてしまうんでしょうけど、新しいものを足すことによって古い泡盛と新しい泡盛が混ざり合って熟成をしていく、そんな感じで、ある意味歴史、家庭の歴史を継いでいくという、こういった文化だと思います。このやり方を仕次ぎというふうに言うそうです。長いものだと百年以上も仕次ぎが続いているようなものもあるそうで、いわゆる家庭だとかその地域の文化をまさしく醸し出しているものじゃないかなと思います。
こういったお酒の飲み方こそがある意味歴史や文化の物語をつくっていくのかなと思っていますが、この泡盛、残念ながら平成十六年をピークに十一年間連続して出荷量が減ってしまっています。今、沖縄はすごいインバウンド良くて、沖縄の人に聞いても景気良くなったというふうに言うぐらいで、人はたくさん来ていますし、人口そのものも増えているんですけれども、残念ながら、外国人、泡盛なかなか買っていかないという、こういった状況で、ちょっと乗り遅れた感じがします。
ここで、売り方見ていると、例えば空港のお店に行くと泡盛の瓶や何かが並んで売っているんですけれども、そこで終わっちゃってもったいないんですね。大事なことは、泡盛そのものが持っている仕次ぎという文化ですとか、そういったものと併せて語りながらやっぱり売っていくということをしなければいけないと思います。もしそれが外国人なり日本人に伝わっていけば、ある意味、例えば一回旅行してかめを買って、またちょっと飲んで、足りなくなったらもう一回沖縄行こうかなとか、場合によっては世代を超えてそういうことも起きるかもしれません。それがまさしく価値となっていくような気がします。
そういった考え方を私は注目しているので、例えば日本酒とか焼酎に関しても、古酒ですとか熟成酒というのの意味がもっともっと日本で広がったらと思っているんですが、そういった点で泡盛は是非先頭に立ってほしいなと思っています。
そこで提案が一つあるんですけれども、こういったお酒の、お酒って物ですけれども、文化を、物語を持っているという点に着目して、泡盛を、物ではあるんだけど、あえて無形の、ユネスコがやっている無形の文化遺産といった形で登録することを推薦する運動などを是非政府を挙げてやっていただいたらなというふうに思います。泡盛の持っている文化の物語の価値というのをきっちりとみんなで位置付け直していって、その価値の理解を広めていくと、いいきっかけになると思います。
是非、泡盛が無形文化遺産に登録できれば、世界中の愛飲家がこの価値に気付いていくんじゃないかなというふうに思いますけれども、鶴保大臣、是非一言よろしくお願いしたいと思います。

(第193回国会 参議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 平成29年6月2日 より)

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