石田まさひろ政策研究会

 

第200回国会 参議院 厚生労働委員会(令和元年12月3日)

第200回国会 参議院 厚生労働委員会 第8号 令和元年12月3日

令和元年十二月三日(火曜日)    午前十時開会

• 005 石田昌宏
○石田昌宏君 おはようございます。自由民主党の石田昌宏です。  産後ケアに関連する母子保健法の改正は、十一月二十八日に厚生労働委員会で全会一致で可決されまして、二十九日の本会議で成立いたしました。本日、この一般質疑の後にこの法案の採決しないかという話もあったんですけれども、前倒しで先週中に可決、成立することができました。委員の全員のこの法律を成立させたいという思いがあったと思います。大変うれしく思っています。  産後ケアを普及させることは、新しい命を授かることで心や体の状態が大きく変化する母親のためにも、これから成長を始める子供のためにも極めて重要であります。全ての家庭が新しいスタートをすばらしいものにするために、この法律は貢献すると信じております。  その上で、まず二点、政府参考人の方に確認させていただきたいことがあります。  まず一点目ですけれども、今回の法案では産後ケア事業の実施基準を省令で定めるということにしていますけれども、この事業は助産師を始めとする看護職なしには実施できない事業であって、短期入所型、通所型、また居宅の訪問型といった実施類型にかかわらず助産師などの看護職を必置する必要があると考えていますけれども、厚生労働省に、人員配置基準はどのように定めるのか、お伺いしたいと思います。
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• 006 渡辺由美子
○政府参考人(渡辺由美子君) お答えいたします。  御指摘の産後ケアにつきましては、産後の母親に対して早期に心身の状態に応じた様々な専門的なケアを行うということでございますので、現行の予算事業におきましても、助産師、保健師、看護師などの看護職を必置とする配置基準を定めております。これは、ショートステイ、デイサービス、アウトリーチ、全ての類型において同様でございます。  今回の法改正後に定めます人員等の基準につきましても、この現行の予算事業の取扱いを踏襲しながら、母子の状態に応じた適切な専門的ケアがしっかりと提供できるように定めていきたいというふうに考えております。
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• 007 石田昌宏
○石田昌宏君 それは、助産師等の必置というふうに考えていいんでしょうか。
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• 008 渡辺由美子
○政府参考人(渡辺由美子君) はい、必置ということで考えております。
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• 009 石田昌宏
○石田昌宏君 ありがとうございます。  専門性の高いケアを行うことがとても大事なので、その方向で是非よろしくお願いしたいと思います。  次、二点目なんですけれども、改正母子保健法に位置付けられる産後ケアというのは、出産後一年以内の女子及び乳児を対象ということで書かれておりますが、そもそもは母子保健法ですから法律上の事業としてはそうなるのかもしれませんけど、現在実施されているような産後ケアセンターの中でも対象者が母子に限られているので、例えば宿泊型などでは父親が利用できないとか、そういったことがあるというふうに聞いたことがあります。父親の育児参加もとても重要なことで、必要であれば父親も参加できるように対象に加えるべきではないかというふうに考えています。  そこで質問なんですけれども、今後、産後ケア事業を実施する場合、対象は本当に母子に限られてしまうのか、又は父親も対象にすることについてどのように考えるのか、お伺いしたいと思います。
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• 010 渡辺由美子
○政府参考人(渡辺由美子君) 御指摘のこの産後ケア事業につきましては、先ほども申し上げましたように、産後の母子に対して早期に心身の状態に応じた専門的ケアを行うということで、事業の基本的な対象ということは母子ということになってございます。  ただ一方で、安心した育児を提供できる体制を確保するためには父親の育児参加を促すということも非常に重要でございますし、また、そのような父親に対する支援を行うということも重要であると考えております。  現在、市町村でも、例えば母子健康手帳の交付に併せて父子手帳を交付したり、あるいは、これ最近の団体の動きとして、日本精神科看護協会がこの四月にパパカードと言われるような父親の育児支援の冊子などを作成したというようなことも伺っておりますし、そういう意味では、やはりこの子育て支援ということで父親の参加ということは必須であると考えております。このため、現行の予算事業につきましても、事例としては非常に少ないかとは思いますが、父親につきましても必要な場合には各自治体の判断で事業の対象とすることも認めているところでございます。  今後も、法制化の後の運用におきましてはこういった取扱いを踏襲しますとともに、さらに、産後ケア事業の実施に当たりましては、母子保健の他の事業で行っております産前・産後サポート事業ですとかあるいは両親学級等の連携を図ることによりまして、父親へのカウンセリングの実施を始めとして両親を巻き込んだ形での包括的な支援、子育て支援体制の構築を図っていきたいというふうに考えております。
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• 011 石田昌宏
○石田昌宏君 ありがとうございます。  是非、父親の参加、産後ケアに限りませんけれども、全体的にも進めてほしいですし、この産後ケア事業もできるだけ両親と子供という形で進めていただければよりいいんじゃないかなというふうに思いますので、どうぞ運用の方をよろしくお願いいたします。  二点確認終わりましたので、次に自見政務官、政務官は小児科の医師として子供の成長、発達にずっとこれまでも関わってこられまして、議員になっても、当選以来、成育医療に随分熱心に取り組んでいらっしゃった姿をずっと見てまいりました。  成育医療基本法なんですが、去年、ちょうど一年ぐらい前ですね、十二月八日、たしか午前二時半ぐらいでしたっけね、成育医療基本法が参議院の本会議で可決、成立しました。当時、私、委員長をやっていまして、法律の提案を壇上で行ったんですけど、深夜で相当皆さんお疲れだったと思います。早く読み終えろとか、そういうやじがたくさん飛んだのを覚えていますけれども、そういう中でも、皆さんの御協力がありまして無事成立することができました。とても印象深い法律でもあります。  この法律の目的を確認すると、次代の社会を担う成育過程にある者の個人としての尊厳が重んぜられ、その心身の健やかな成育が確保されることが重要な課題となっていることに鑑み、成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策を総合的に推進するというふうにしっかりと書かれています。まさに心身の健やかな成育の確保が重要であって、その重要なポイントの一つが出産直後の母子関係の構築にもあると思います。  今回の母子保健法の改正は、成育医療基本法の目的に沿った方策の一つが具現化していったものだというふうに思いますが、政府は、成育医療基本法に示される理念、これを実現するに当たって、今回の母子保健法をどう生かしていくつもりかお伺いしたいというふうに考えていますが、このことを、実は前回、島村大議員が政務官に意気込みを聞いているんですけど、正直、原稿を棒読みでございまして、ちょっとこれは駄目出ししたいと思いますので、長めで結構ですので、どうぞ自見先生らしく、思う存分にお話しいただきたいと思います。
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• 012 自見はなこ
○大臣政務官(自見はなこ君) 御質問、誠にありがとうございます。  原稿を棒読みではなく、自分の言葉でという御指示も賜ったところでありますが、今月の一日から施行されました成育基本法、これは、子供たちを真ん中に置いた社会づくり、これを是非行っていきたいんだという多くの議員の先生方、関係団体の先生方、そして、古くは二十五年も前から日本小児科医会、日本産婦人科医会、日本助産師会、日本看護協会、日本医師会を始めとした大勢の関係団体の皆様のこの活動というものが根っこにあったというふうに認識をしております。  その子供たちを真ん中に置いた社会づくりということに関しまして議連での議論が様々あったというふうに承知をしておりますけれども、その中でも特に、やはり子供は自分の意見を自分で言うことができないからこそ、私たち子供たちに関わる者がその代弁者とならなければいけないということであるとか、あるいは十代の若年妊娠、困ったときの相談の窓口をされているにんしん東京SOSの方々からのお話から性教育に対する重要性のお話、あるいは虐待死というものが大変集中している意味が、これが、厚労省も出しております「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」第十五次報告にも出ておりますが、やはり日齢ゼロ、そして加害者が実母というところに集中しているということの議論で大変私たちは心を痛め、そして、議員の先生方で議員立法として妊娠期からの切れ目のない支援を我が国でしっかりと理念法として位置付ける必要があるという議論が高まったということであります。  また、その中で、与野党を超えて、目黒区の結愛ちゃんの事件もありましたので、議会としてしっかりと子供を真ん中に置きたいということの気持ちを示していただいた議員立法だというふうに思っております。  そして、今般、母子保健法の改正によりまして産後ケア事業というものを位置付けていただきました。これは、去年の十二月八日に成立をいたしました成育基本法のときに野党の先生方の強いお気持ちがあって、児童福祉法の改正で是非産後ケアというものを位置付けてほしいというお気持ちをいただきました。この件は私が政務官になる前からでありますけれども、議員連盟の方でしっかりと役員会を開催していただきまして、この度の母子保健法の中での位置付けということで成立を至ったというふうに認識をしております。  その母子保健法の改正の意義でありますが、やはり母子保健の拡充、ここで子供たちを、あるいはお母さん、お父さんをしっかりと支えていこう、母子保健の拡充をしていこうということを議員立法でお示しいただいたというふうに思っています。  そして、この妊娠期からの切れ目のない支援の成育基本法でございますが、これは、子育て世代包括支援センターの全国展開ということとともに、産後ケア施設ということで、この理念を具現化していくということの施設であるということの意義、これが大きく期待されておりますことから、この度の法律の制定というものは極めて時宜を得た意義のある、意義深いものであるというふうに思っております。  また、議員連盟でもお話があったということをお示しをいたしましたけれども、この児童虐待による死亡事例でありますが、実母による、加害者が実母であるということ、日齢ゼロであるということはお伝えをいたしましたが、さらに、心中死を行った実母が抱える問題というものについて、産後のうつ、うつ状態が合計三二・九%、精神疾患が二六・一%、育児不安が二七・三%であります。精神疾患の存在とまた育児の負担感というものが大変大きな要因になっているということも私たちはこのデータからも読み取れるわけであります。  このような背景がある中、特に私たちは、核家族化あるいは地域のつながりというものが近年希薄化しておりますので、産前産後の母親が孤立感を抱えやすくなっているというふうに考えております。これを産後ケアを拡充することにより、助産師、そして小児科医、産婦人科医、そして多くの子供に関わる専門職種、そして専門職種以外の方々の気持ちもしっかりと一緒に活動していただくことで、社会全体で子育てをしていく、安心して子育てができる支援体制というものを確保するということが重要であるというふうに考えております。その結果として、産後のうつ等のメンタルヘルスの改善や子供の虐待の発生事例の軽減というものが期待されるというふうに考えております。  また、これは何度も繰り返し申し上げて、そしてそれでも強調し過ぎることはないというふうに思いますが、母子保健の拡充、ここにしっかりと取り組むこと、そして社会全体で子育て支援を面として行っていくこと、そして各種の施策がしっかりと母子や家庭に届くということ、こういったことが同時に少子化対策にもつながるものだというふうに考えております。  今後は、今般の産後ケア法案、産後ケアを打ち出していただきました母子保健法の改正、この趣旨を十分に踏まえつつ、成育基本法の施行を通じて、その理念となる妊娠期から産後、そして次の世代へつながっていくライフサイクルに対する面的、一体的な支援体制の構築に私も政務官としてより一層積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  よろしくお願いいたします。
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• 013 石田昌宏
○石田昌宏君 ありがとうございます。恐らく御自分で書かれた原稿だと思います。本当にありがとうございます。  続きまして、大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、今のお話にもありましたように、非常に重要な法案だというふうに思っています。産後ケアは、努力義務というのはちょっと残念なんですけれども、今度、市町村の事業として法的に位置付けることもできました。  ただ、これ広く全国の自治体でこの事業を実施していくためには、やっぱり十分な財源がまず大事であり、同時に専門人材をしっかりと確保していくことが大事であります。また、行政の保健婦との連携も重要ではないかというふうに思っておりますけれども、この法改正を受けて、国として市町村なりに対してどのような対応を行っていくのか、予算の措置も含めてお伺いしたいと思います。
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• 014 加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) 産後、誰もが安心して子育てができる体制をどうつくっていくのか、退院直後の母子に対して心身のケア、育児のサポート、これを適切に実施をしていくためには、今委員御指摘のように、財源を確保していくということとそれを実施し得る体制、人材も含めてどう確保していくのか、構築していくのかというのは大変大事な課題だと思います。  予算に関しては、今、令和二年度の概算要求をしておりまして、まだ要求段階ではありますけれども、昨年に比べて五億円の増加の予算要求をさせていただいております。  また、各自治体の保健師の方々との連携をしっかり取っていただくということが必要であります。市町村における産後ケア事業と母子保健法に基づく様々な事業と、この連携を図るということが大事でありまして、その旨は母子保健法にも明記をされておりますので、そうした趣旨を我々としても市町村によく丁寧に御説明をさせていただいて、まさにここの法律を通じて、あるいは産後ケア事業などを通じて、妊娠から産後に至るまで切れ目のない支援の体制の構築、地域社会における支援の構築に向けて努力をしていきたいというふうに思います。
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• 015 石田昌宏
○石田昌宏君 ありがとうございます。  この法律は本当に人の人生を大きく変えていくような法律ですから、是非しっかりと思いを込めて伝えていってほしいというふうに思っています。  次に、もう一回大臣にお伺いしますけれども、助産師の地域での活躍は、今自見政務官もお話ありましたけど、とても重要です。ただ、現実的には、今は病院の中では助産師さんは、最近は院内助産や助産師外来などで随分活躍の場が更に広がってきているというふうに思っていますが、現実的には、例えば病院で産科がなくなったりしますと、助産師の資格を持ちながら現実的には看護師として助産じゃない仕事に就かれている人も非常に多くて、そういった方が資格をもっと生かしてほしいなという思いがあるし、それはできれば地域で生かしてほしいという思いもあります。  実は、私の家庭では家で子供二人とも産んでおりまして、助産師さんが事前から、もちろん出産のときも出産後も家に来てくれまして出産しているんです。もう珍しくなってしまったのかもしれません。特に下の子の場合は出産の直後からもう近所中の人がやってきて、まだ胎盤がおなかの中にあるうちから来て、胎盤出た後にへその緒を切るというのをみんなの前でやったりしまして、そうすると何が起きるかというと、子供が歩いて行けるような状況まで成長すると、いなくなるんです、家から。どこかの家で御飯食べてきたりとか、どこかのお父さんがお風呂入れたりとか、そんな感じで、まさしく地域がこうやってできていくんだなというふうに思います。  出産を地域や家庭から切り離すんじゃなくて、その中でしっかりと行っていくことはとても重要だと思いますし、それはやっぱり助産師の力がとても重要ですが、残念ながらそういった姿がほとんど今見られなくなってしまっていました。  是非これからも、安全な出産や産後のうつの予防などもありますけれども、助産師が活躍できるような体制をつくっていくべきだと、特に地域でと思いますが、厚生労働大臣の御見解を伺います。
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• 016 加藤勝信
○国務大臣(加藤勝信君) まさに、妊娠、出産、育児、それぞれのライフスタイルに応じた支援、特に、両親から見れば、子供を取り上げてくださった助産師さんというのは非常につながりが強いわけでありますから、そういう方にまた相談しやすいという環境も当然あるというふうに思います。そういった意味で、まさに地域包括ケアシステムという、そういった仕組みの中においても大変重要な役割を担っていただいている。  例えば、今、院内助産や助産師外来の推進を進めるとともに、助産所がこれ分娩だけではなくて産後うつへの対応も含めて産後ケア等の多様な事業を担うことを後押しをしていく、そうした機能をより認識をして実践をしてもらうというモデル事業を実施をさせていただいております。また、助産師が実践的な能力を向上させるための支援や助産所と医療機関との連携のための調整を担う道府県の協議会の設置の実施支援、こういった取組に加えて、さらには、助産師の養成課程において、令和四年度からは、ハイリスク妊産婦への対応に加えて産後の母子のアセスメントを行う能力の強化に向けた教育内容の充実等も図ることによって、まさに地域包括ケアの中において助産師さんがその力を十二分に発揮をしていただける、そうした基盤、これをしっかりつくらせていただきたいと思います。
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• 017 石田昌宏
○石田昌宏君 どうぞ、これからの厚生労働省の是非取組に期待したいと思います。  ありがとうございました。

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