石田まさひろ政策研究会

 

アメリカと日本の医療の共通の課題

8月、週間医学界新聞に「ベスイスラエル病院の閉院と医療の行く末」という記事が載りました。知人に聞くと、有名なボストンのほうではなく、ニューヨークのベスイスラエル病院のことだということ。ボストンのベスイスラエル病院は日本の看護師や医師の来訪も多い有名なところです。

ニューヨークとは名前は同じですが基本的には違う病院なのでホッとしましたが、オバマケアが始まったばかりのアメリカのど真ん中でなぜ基幹病院の一つがなくならなければならないのか不思議でした。そこで、ニューヨークに行き、その病院の関連施設で働いている日本人医師に話を聞きました。

経過は、医学界新聞の山口さんの記事にお願いすることにして、
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03185_02

オバマケアが始まった背景にあったこととか、オバマケア自身の問題とかよりも、彼が話したことは、日本の医療に通じるものがあると思います。

患者が十分に理解していないにも関わらず進められるインフォームドコンセント。きちんとやろうと思ったら一日数人の患者を診るのが精一杯ですが、それでは医療は成り立ちません。でも書類にサインがないと後で訴えられることもあります。患者の理解よりサインをもらうことが先。患者も治療をしてほしければたくさんのサインをしないと受けられません。IMG_8590

治療の前の情報収集も必要。明らかに風邪薬を処方すればよい患者と思っても、診断の前に紙に入りきらないくらいの多くのチェック項目を洩れることなく埋めるなければならず、かえって病気が悪化しそうです。医師の仕事の時間の8割が記録と保険請求。患者中心の医療はどこに行ったのか。

患者のために働き、患者の笑顔をみてそれをエネルギーにしてまた頑張れる。こういう感覚が大幅になくなり、医療従事者のモチベーションは極めて下がっている。病院がなくなることを市民は反対するが、職員は疲れ切って反応が薄い。

ほかにも、安全対策が進むと医療すること自体が”リスク”となり患者の権利という言葉が広がれば形を整えることが優先され機能分化が進めば連携の手間が増えワークライフバランスが進めば自分の行動を優先し無責任で帰宅する。IMG_8584

こんな事例をニューヨークでこれまでかというくらい聞きました。

でも、ニューヨークの小さな診療所で過ごしたこの時間、ここはアメリカなのか日本なのか、一瞬わからなくなりました。
病院は、治療のプロセスを通じ、人の幸せが生まれるところです。
それを患者も医療者も実感できるようにしなければなりません。

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