石田まさひろ政策研究会

未来の医療を変える力を持つ日本人~後編~

赤畑氏は、アメリカの国立衛生研究所(NIH)の研究者として最先端の研究をしていました。そこで研究した「ワクチン創薬の基盤技術」ともいえる技術を広めるためにアメリカで起業し新たなワクチン開発をめざす若者です。
(赤畑渉氏のプロフィール→http://vlptherapeutics.com/about/akahata/)

赤畑渉氏がファウンダーを務めるVLP Therapeutics社のアフリカや南アジアでたまに感染が広がる「チクングニアウイルス」をつかった技術です。
(VLP Therapeutics社サイト→http://vlptherapeutics.com/)

このウイルスの遺伝子から、普段ウイルスを包んでいる殻だけを作ります(普通これは簡単ではないのですが、これを作れるところが凄いのです)。このウイルスの殻は、とても大きくかつきれいな形をしています。この形が大量に抗体をつくる能力のもとです。このウイルスの殻に、抗体を作りたい抗原のたんぱく質を付着させます。すると体はこれを抗原を勘違いしたくさんの抗体を作ろうとします。都合のよいことにちょうど抗体を作りやすい形をしていますから、簡単に抗体を作ることができます。

言ってみたら、抗体を簡単につくるためのプラットフォームの技術が、赤畑氏がもつ技術だといえます。

まだ治験の段階ですが、例えばマラリアでは今までの方法の数倍のペースで抗体が創れるそうです。デング熱の治験も始まりました。また、がんの抗体の作成についても試験が始まっています。将来は認知症や糖尿や高脂血症も視野にいれています。応用範囲が広いすばらしい技術なのですが、最初にマラリアに取り組んでいるのが彼のセンスを現わしています。貧しい人が多く苦しんでいる病気をまずなくしたいという思いです。

彼の会社を訪問し、話を聞くことができました。ワシントン郊外にある閑静な街にある小さな建物を、ほかのベンチャー企業と一緒に借りています。小さなラボと小さな事務室しかなく、大学の一つの研究室より小規模。ここが未来の医療を変えるのかと思うとギャップを感じます。でも、赤畑氏と話すと、このギャップはすぐに埋まります。とても真面目でおごりもなく、でもしっかりと¬¬¬¬¬夢を語る素敵な日本人でした。自分の友人が若くしてがんで亡くなったことをきっかけに、がん治療に貢献したいと思い、自分の研究を定め起業しました。

基盤技術なので、それを多くの創薬会社が使ってくれないと利益はあがりません。いまはその前段階で、基盤技術の素晴らしさを証明している段階です。でもその可能性の確かさに期待され、多くのファンドから支援を受けています。

ただ、残念なのは日本からの支援がないこと。赤畑氏は日本人であり、日本に対する愛情もあります。できれば日本を研究の拠点にしたいとも考えています。しかし日本のファンドからの投資や国や大学からの支援はほとんどありません。

技術立国日本と言いますが、実は、国として技術を開発するための環境を作れず、費用的な支援も弱いことを、赤畑氏の事例から感じました。

実は、私も若いころは分子生物学者になるのが目標でした。大学に入り道を変えましたが、今でもこういう技術の発展には自分のことのようにわくわくします。赤畑氏との話はとても楽しかったです。
今できることはこういう研究者の夢をかなえやすくするための環境づくりですから、この役割をもっと果たしていきたいと決意した時間にもなりました。
赤畑さん研究室 3

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