石田まさひろ政策研究会

 

外国人技能実習制度

現在、参議院法務委員会で「外国人技能実習法案」「出入国管理法改正案」の審議が行われています。10月25日に衆議院本会議で自・民・公・維が賛成し可決され、10月28日の参議院本会議で趣旨説明質疑を行いました。

外国人技能実習制度は、見直しが必要な状況にあります。目的こそ技能実習ですが、実際は一部の外国人からは短期の出稼ぎとして認識されていたり、場合によってはブローカーが介在していたり、賃金が少なかったりと多くの課題がしてされています。

実際には、技能実習生の失踪が増えています。平成23年には年1534人であった失踪者が平成27年には5803人に急増しています。少し前は中国人が多かったのですが今はベトナム人が増えています。その理由は、実習先の賃金が低いことが最多。

実習実施をしっかりしなければなりません。

そこで、
・実習実施者を届け出制にすること
・管理団体の監督を強化すること
・外国人技能実習機構を認可法人として新設し、技能実習生ごとに作成する技能実習計画を認定制にすること

等を行い、技能実習の適正化を図ります。そのうえで、優良と判断された実習実施者や監理団体に対しては、受け入れ期間を延ばすことを可能にします。

もう一つの論点は、介護分野の実習生を受け入れることです。始めてサービス業に分類される分野で技能実習制度が適用されます。目的は途上国への技術移転であるのがこの制度ですが、日本の介護労働の低賃金の固定化に結び付かないように細心の注意が必要です。

ところで、外国人労働に関して気を付けなければならないのは、最近の傾向です。
先日自民党で行われた外国人労働者に関する会議で、ジャーナリストの出井氏が指摘するには、最近は外国人労働者が日本を見捨て始めたということです。

・中国人は経済発展で国内賃金が上がり日本に出稼ぎに来るメリットがなくなった
・日系ブラジル人はピーク時と比べ半減し「帰れるものからブラジルに帰っていく」状態
・EPAの看護師や介護職員も、国家試験に合格しても帰国するケースが相次ぐ

このような中で、最近の傾向は、経済成長に乗り遅れたアジア諸国からの実習や留学での来日が目立っているようです。特にベトナム人が2012年に比べ5倍(13.1万人)に、ネパール人は数は少ない(2.1万人)ですが4倍に急増。

デフレが続いた20年間で、日本と外国の経済格差は急速に縮まりました。日本人が足りなければ外国人を呼べばいいという安易な発想に限界がみえてきているのだと思います。むしろ、優秀な外国人が来日し、日本人と共に経済や文化を発展させるというしかけが必要なのかと感じます。

この問題は、奥行きが深いので、引き続き深めていきます。

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