赤十字国際委員会駐日事務所による、紛争下における医療に関する講演を聞きました。
昨年のシリアやアフガニスタンなど紛争下で起きた、医療機関への攻撃は302回、418人が死にました。本来あってはならない医療への攻撃が起きています。
ある地域では医療従事者の65.9%が暴力を受けたか、目撃したという調査結果もあります。
ところがこの暴力の58%は患者や家族からの暴力で、紛争に直接関わるものは少ししかありませんでした。つまり、紛争が、普通の人々をどれほど苦しい状況に追い込んでしまっているのか考えなければならないのです。
紛争によって破壊されるのは、人の命や建物だけでなく、社会システム、人々の心、人との間の信頼関係でもあります。
仮に、紛争があっても、秩序を保たなければ人の気持ちは守れません。医療はこの気持ちの崩れによって破壊されていきます。
紛争下であっても、守られるべき人々を保護するためのルールとしてジュネーヴ諸条約があります。日本はこの条約を批准しています。しかし、紛争を仮定した具体的な法整備はまだ不十分ではないでしょうか。取り組みが必要と痛感しました。