石田まさひろ政策研究会

新たながん患者の支援

先日、マギーズ東京という場所にうかがいました。

木造の平屋でできた建物で、大きく切り抜かれた窓からは、中庭の緑が見え、豊洲にある立地上、東京湾の海辺も眺めることができる施設です。

ここは、がんを患っている人、あるいはその家族や友人、上司や同僚、がんで家族を亡くした遺族など…がんに関わる方たちが自由に集える場所で、センター長で看護師の秋山正子さんをはじめ、がんに精通している看護師や心理士の方が迎えてくれます。

もともとマギーズは、イギリス発祥の施設。マギー氏が、乳がん再発の際、病院で医師から余命宣告を受けた際に、衝撃を受け、でも次の患者が待っているからと医師の前を立ち去らなくてはならない時に、がん患者のための空間が欲しい思ったことがきっかけでできました。
イギリスには既に何か所もありますが、黒川紀章をはじめ、有名建築家が設計を寄贈して建てられています。その日本第一号が、東京の豊洲にあります。

キッチン、個室、ソファーや、横になれるスペースがあり、時間の流れがゆっくりで、素敵なカフェのような空間です。

利用の目的は、人それぞれです。
その中で特に多いのが、何かを決める時や、悩みを考える時の利用です。

がんを患うと、疾患や症状と付き合うため、乗り越えるために、色々なことを不安に思い、悩み、それでも答えを出さなければならないことが多くあります。どんな治療をするのか、仕事が続けられるのか、副作用にはどんな対処をするのか…悩みや不安は多岐に渡ります。
そして、悩みや不安は、医療者に助言されたとしても、すぐには納得できません。色々な思いや、考えを巡らせ、気持ちや考えを行ったり来たりさせながら、やっと自分にとって最善の答えを見つけます。時には答えが見つからないことも…

マギーズ東京のスタッフは、そんな利用者の意思決定を寄り添いながら支援してくれます。

一般的に、病院では、医師や看護師は、患者のために、限られた診療時間の中で、その人に最善の情報提供や指導を試みます。でも、受け止める患者側は、余裕がなかったり、難しい説明をたくさんされたり、予想外の宣告をされると、聞きたいと準備していた質問がいっきに吹っ飛んでしまいます。また、聞きたいことがあってもタイミングがないこともあります。
病院では、限られた時間やマンパワーで、医療機関ではなかなか丁寧なサポートができないのが現実です。
その一方で、家や職場では日常すぎて、目先のやらなければならないことに追われて後回しになったり、孤独や混乱から何を考えてよいのか分からないこともあります。

そんな時に、マギーズ東京が利用できます。
病院のように、緊張する空間ではなく、しかし専門的な知識を持った看護職者が、そっと伴奏してくれる特別な空間です。

時々、読書や資格の勉強をするためにカフェに行く人がいます。
読書や勉強は家でもできることなのですが、でも、日常の生活空間ではないところに身を置き、読書や勉強に没頭します。
マギーズ東京もまさにそんな場所で、非日常的な空間で、ゆっくり腰を据え、考えを巡らせ、自分にあった答えを出すことに集中できます。患者や利用者の行ったり来たりする考えや気持ちに寄り添う、看護の力がふんだんに発揮される施設でした。

※この対談の様子は次号の日本看護連盟 機関誌「アンフィニ」に掲載されます。
日本看護連盟会員の皆様はお楽しみ!

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