児童虐待が社会問題になっていることを踏まえ、民法の懲戒権について見直します。
現行民法では、「親権を行う者は(略)監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる。」とされていますが、これが「しつけ」と称する虐待に繋がるとの意見があるため、この条項を削除します。
代わって、親権者は、子の人格を尊重し、年齢発達に配慮し、体罰その他の、子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない旨の規定を作ります。
また、無国籍者の問題解消の観点から嫡出推定規定を見直します。
現行民法では、離婚後300日以内に生まれた子は離婚前の夫の子と推定しますが、これを嫌って出産した女性が出生届をしないケースが多くあります(令和4年8月時点で無国籍者793名中563名(約71%))。
そこで、この規定を見直し、離婚後300日以内に生まれた子であっても、生まれるまでに再婚した場合は再婚後の夫の子と推定します。
あわせて、女性は、離婚後100日間は再婚することができませんでしたが、この規定を廃止します。
さらに、夫の子と推定された子について、夫は子の出生を知った時から1年以内に嫡出否認の訴えをし、推定を否認できますが、子や母はできなかった現行規定を見直し、母や子でも申立ができる等の見直しを行います。