石田まさひろ政策研究会

総務省情報通信政策研究所の報告書

総務省情報通信政策研究所の報告書が話題になっています。
人口知能(AI)を用いたネットワークシステムが社会や経済にどのような影響を与えるのか予測したものです。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000050.html

報告書の正式なタイトルは『AIネットワーク化の影響とリスク -智連社会(WINS)の実現に向けた課題- 』AIネットワーク化の進展に伴いいくつかの未来像を挙げています。ひとつは、異業種間の融合の進展です。

例として、
・製造業者が、自らの製品から稼働状況等に関するデータを収集し、収集したデータに基づいてAIネットワークシステムを用いて製品の状態等を常時分析し、製品の保守等アフターサービスに活かすことにより、サービス業に進出するケース
・AIネットワークシステムにより制御されるドローンによる宅配サービスが可能となることにより、小売業者が配送の業務に進出するケース
・自動車製造業者と保険業者とが連携して、ドライブレコーダと接続しているAIネットワークシステムを活用することにより、走行履歴のデータの分析結果に基づいて自動車保険料の割引を実施するケース

などを挙げています。確かに、すでにフィンテックなどこの事象は進みつつあります。

もうひとつは、AIやロボット等による技術的代替です。
今後、定型的業務のみならず、知的業務といえども、AIネットワークシステムによって代替することが技術的には可能としており、人間はアイディアを生み出す仕事や人間相互間の高度なコミュニケーション能力(リーダーシップ等)を必要とする仕事を担うことになるとしています。

医療の世界でさえも、医師の診断や治療方針の作成等が置き換わるかもしれないという議論があります。私たちの教育のあり方を根本的に見直さないといけませんね。ちょっと危機感を感じます。

一方、そもそもAIネットワークシステムは、人間の生活をより豊かに、より幸せにするものとして機能することが期待されているのですが、逆のことも起こり得ます。マスコミが取り上げたのはこの視点で、リスクシナリオが提示されています。

例えば、
・ロボットに関係するクラウド等AIネットワークシステムがハッキング攻撃されることにより、情報が流出したり、ロボットが不正に操作されるリスク
・ファームウェアの乗っ取りや不正なアップデートなどにより、ロボットが想定外の動作をし、制御が喪失するリスク
・親しみのある見た目の人型ロボットが、オレオレ詐欺の「受け子」や「出し子」など人間の代替物として犯罪に悪用されるリスク
・愛玩用の犬型ロボットの飼い主のリテラシー不足などにより、ロボットのアップデートが確実になされなかったため、ロボットが遠隔操作ウィルスに感染して、悪用され、空き巣に入られたり、情報が漏洩するなどの被害が生ずるリスク
・遺伝子等を元に亡くなった人を再現するロボットが人間の尊厳との関係で問題となるリスク
・テレイグジスタンス・ロボットにより外国人が入国審査を受けることなく「上陸」することが可能となり、出入国管理制度が機能不全に陥り、テロリスト等が流入するリスク
・人間に投棄された「野良ロボット」が徒党を組んで人間に対して参政権等の権利付与を要求するリスク

ルールとかコントロールとか、非常に抑制的に設計をしていかないと、思わぬリスクが人間社会に大きな影響を与える可能性があります。したがって、技術の進歩より少し先をみた法整備等を同時に進行させないといけません。

未来を考えるにあたっては非常に興味深い報告書です。

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