石田まさひろ政策研究会

【2040年を考える 〜厚生労働白書を読みながら〜】04_高齢者とは誰か

高齢者が近づいてきた60歳の人に「高齢者とは何歳以上か」と聞いたところ、年々、年齢が上がってきている。もはや75歳以上で高齢者という意識が主流だ。あわせて着目したいのは「年齢では判断できない」という回答だ。2014年の調査ではついに10%を超えた。

平成に入る頃から高齢社会に向けた制度改革が幾度となく続いているが、制度改正もさることながら、私は、高齢化の定義こそ見直すべきだと提言する。それは社会全体の改革でもある。

まず「65歳」だが、この年齢から高齢者だと言われ始めたのは1950年台後半からだ。当時一部先進国で平均寿命が70歳を超えるようになり、人類史上初めて高齢化が課題となった。その時、急いで作った定義である。ちなみにその頃の日本人の平均寿命は65歳に届いていない。
その後、世界中で平均寿命が急速に伸びていったが、高齢者の定義は変わっていない。定義が作られた当時の実際の寿命の差をそのまま現代に当てはめれば、今では80歳もしくは85歳が妥当ということになる。高齢者の定義の年齢も上げるべきだろう。

しかし、年齢を変えれば済む話だろうか。経験的にわかるように、歳を重ねれば重ねるほど個々人の差は大きくなる。80歳で若々しい人もいれば60歳で老け込んでいる人もいる。年齢で一律に高齢者を定義することは難しい。

そこで、高齢者を年齢で定義することを辞める提案をする。多様な人々をたった65という年齢、たった一つの数字で区分するのは無理がある。代わって提案したいのが状態で定義することだ。歳を重ねると個人差はあれど身体的な機能は衰え、遅かれ早かれ人からの支援が必要になる。加齢により生活する上で人からの支援が必要になった人を高齢者と定義してみたらどうだろうか。元気な80歳は若者だ。もっと地域社会で活躍していい。もし今ある指標を使うなら介護保険制度の要支援もしくは要介護が一つの参考になろう。

白書に戻るが、今回の厚生労働白書では、高齢者像ついて、はじめて『「年齢では判断できない」とする割合が近年かなり増えてきている』と年齢でない高齢者増の視点に触れた。のちに画期的と評価されるかもしれない。

「もはや戦後ではない」と明記した1956年の経済白書は有名だ。近く「もはや年齢ではない」と白書が明記することを期待する。

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