2019年7月10日の中医協総会では、「地域づくり・まちづくりにおける医療の在り方について」がテーマになりました。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000527381.pdf
「地域」という言葉が強調されている通り、地域医療構想をどう具現化するかという視点が今回の改定にも強く現れそうです。
まずは、入院医療についてです。
資料では、入院医療の現況を次のように整理しています。
- 入院患者数・入院受療率は、全体的に低下傾向。
- 人口10万人あたり病院数・病床数は、ともに減少傾向。一般病床数は、横ばいから減少傾向。
- いずれの病床区分も、平均在院日数は減少傾向。病床利用率は横ばいの傾向。
- 1日あたり入院医療費は、増加傾向。
- 開設者別の病院病床数は、医療法人の占める割合が多く、構成割合に大きな変化はない。
- 各入院料の人口10万人あたり届出施設数・病床数は、都道府県ごとにばらつきがみられる。
- 2015年から2040年の市区町村の人口変動をみると、人口が大きく減少する市区町村が存在する。
5~16ページにデータが示されていますが、特にマクロな視点からの入院医療に興味がある方はブックマークに値します。
さて、その中で、現在の入院医療の診療報酬の算定の様子がまとめられています。
- 一般病棟入院基本料の届出施設数は概ね横ばいだが、7対1や10対1の届出病床数は減少傾向。地域包括ケア病棟入院料1、回復期リハビリテーション病棟入院料1、療養病棟入院基本料1は、届出施設数・病床数ともに、増加傾向。
- 平均在院日数は一般病棟入院基本料の7対1が最も短く、全体的に近年は大きな変化はない。病床稼働率は入院料によってばらついている。
- 入院料別の開設者の割合をみると、いずれも民間の占める割合が多いが、一般病棟入院基本料(7対1)や地域包括ケア病棟入院料1では、国立、公立、公的・組合の占める割合が比較的多い。
- 入院料別の病床規模の分布をみると、一般病棟入院基本料の7対1以外は、100床未満が最も多い。
- 都道府県別の各入院料の届出施設数、届出病床数の数と割合は、ばらつきがみられる。
- 入院患者の状態をみると、概ね急性期の入院料の方が、年齢層が若く、要介護・要支援が少なく、自立した患者が多い。
- 入院医療にかかる評価については、平成30年度診療報酬改定において、基本的な診療に係る評価(基本部分)と、診療実績に応じた段階的な評価(実績部分)との2つの評価を組み合わせた評価体系に再編・統合した。
- 地域移行を進める精神病棟の評価として、平成28年度診療報酬改定で地域移行機能強化病棟入院料が新設された。当該入院料については、平成31年度までに新規の届出を行うこととされている。
読んでいるだけで、厚生労働省の狙いがチクチクを感じられますね。示された論点だと、
地域における医療提供体制の確保を進めるため、異なる機能を担う医療機関がそれぞれの役割を維持しつつ、医療機関間の機能分化・連携を進めやすくするような評価の在り方について、各入院料の届出等の状況や、平成30年度診療報酬改定の対応を踏まえ、どのように考えるか。
とオブラートに包んだようにまとめられていますが、特に7対1に関し、今までと同じですが抑えにかかる感じがします。しかし、現場の感覚としては医師や看護職員は多く見えるが実態は逆で全然足りないですから、政策と現場の不一致をどうみるかという視点が欠ないよう指摘をしていきたいと考えています。
一方、特に看護職員配置に関し、急性期は多く慢性期は少ないという制度になっていますが、おかしいと石田は考えています。療養生活を支える人では急性期も慢性期も同じ、いや重症化が進む慢性期医療ですから多くの人手が必要かもしれません。慢性期医療の充実を求めます。この点はこの資料に微妙に指摘されていると感じますので、ぜひその具体化を。